新しい職場で働くために③~退職願い・退職届・辞表の違いと出し方~
退職の意思を伝えた、そのあとのステップで欠かせないのが書面での意思表示です。
これまでの社会生活を振り返ればお分かりの通り、大切な事柄や契約は書面にして残すことが必要です。会社を辞める場合も同様。「退職願」や「退職届」という名前の書類を提出しましょう。もしあなたが経営者や役員、公務員だった場合、提出するのは「辞表」になりますので間違えないようにしましょう。
書式・フォーマット
- ボールペンや万年筆など消えないペンで書きます
- 縦書き(日付は漢数字)/横書き(日付は英数字)
- 白い便せん(本文は手書き)
- 名前下(縦書き)または横(横書き)にゴム印以外の印鑑で押印
- 郵便番号の枠が無い白い封筒
(表:「退職願」「退職届」/裏:下部に正式部署名とフルネーム)
※年表記は西暦または元号、どちらでもOK
退職願(たいしょくねがい)に必要なポイント
※一般的には取り消しが可能な「願い出」となります。
- 冒頭行:「退職願」
-
文の導入:「私儀」または「私事」と書きます。
※本文の一行目の最下部に書きます
※へりくだるため一番下に自分のことを書くといわれています。
-
退職理由:このたび一身上の都合により、
※定型文なので具体的な理由ではなく「一身上の都合により」と書けばOKです。
- 退職日付:○○○○年●●月XX日をもって
-
文末の表現:退職いたしたく、お願いいたします。
※退職を願い出る表現で書きます。
- 願出年月日:○○○○年△△月□□日
-
所属と氏名:○○部 ○○課 ○○ ○○ 印
※こちらもへりくだって行の下方に書きます。所属は正式な部署名、氏名はフルネームと押印
- 組織名と責任者名:○○株式会社 ○○ ○○殿
退職届(たいしょくとどけ)に必要なポイント
※受理されると通常は撤回できません。取り消し不可能な「届け出」と思って提出しましょう。
- 冒頭行:「退職願」
-
文の導入:「私儀」または「私事」と書きます。
※本文の一行目の最下部に書きます
※へりくだるため一番下に自分のことを書くといわれています。
-
退職理由:このたび一身上の都合により、
※定型文なので具体的な理由ではなく「一身上の都合により」と書けばOKです。
- 退職日付:○○○○年●●月XX日をもって
-
文末の表現:退職いたします。
※退職を願い出る表現で書きます。
- 願出年月日:○○○○年△△月□□日
-
所属と氏名:○○部 ○○課 ○○ ○○ 印
※こちらもへりくだって行の下方に書きます。所属は正式な部署名、氏名はフルネームと押印
- 組織名と責任者名:○○株式会社 ○○ ○○殿
辞表(じひょう)に必要なポイント
受理されると通常は撤回できません。即座に退職プロセスが始まります。
-
辞表提出のタイミング:辞表は、退職の意思を初めて明確に示す段階で提出します。
※退職願や退職届とは異なり、職を辞める意思はここで示します。
-
辞表の内容:辞表には退職の理由や退職日などを詳細に記載します。
※退職の意思を正式に伝えるため、丁寧に書くことが必要です。
- 会社、役職などによって辞表に記載する要件がまちまちなため、社内の規定に則ったフォーマットを確認して提出しましょう。
退職の話をする場合、「ちょっとお話が……」と声をかけ、人の耳に入らない会議室などで退職したい気持ちを切り出すことが一般的です。
現場と管理者が離れていてなかなか上長に会う機会が無い職場では、退職したいことを伝える際に書面を一緒に渡す場合もありますが、漫画やドラマのように「退職届」を一方的に上長の前に差し出す……というパフォーマンスを取ると要らぬ波風を立ててしまいそうです。
相手からすると、あなたに退職したい気持ちがあることを「今」知ったばかりです。これからも一緒に働くつもりでいた上長はびっくりして戸惑うでしょうし、強引に書類を渡される=重い責任ある書類を預かることに抵抗を感じるかもしれません。ですので、いったんは口頭で退職したいことを話し、「後日書面にて『退職願』(『退職届』)を提出させていただきます」と、書類を出す意思があることを伝えるなど、段階的に話を進めるほうが、あなたの気持ちを尊重しようという気持ちになってもらえることと思います。相手をあまり動揺させるのは、得策ではありません。むしろ、味方になってもらう方が退職にとってプラスです。それはなぜか?
次回は、「退職・転職を引き止められた時」をご紹介いたします。