退職の意思を伝え、「退職願」や「退職届」を無事に提出すれば順調に退職への道を進んでいるように見えますね。
しかしながら、ここまで順調に話が進んでいたとしてもまだ気を抜いてはいけません。内定をもらってから入社するまでと同様、退職届を出してから退職するまでの道筋もしっかりと確認しておきましょう。
それは下記のような理由で退職時期が延びたり退職そのものが無かったことにならないようにするための準備ともいえます。
今務めている会社がいわゆる「ホワイト企業」でしたら退職についてもホワイトな対応をしてくれますので、上記のような心配はないと思います。しかし、退職の理由が「ブラック企業」やそれに近い社風であったり、サービス残業やパワハラなどが横行している職場であったり、賃金の未払いなど金銭的面で経営に不安があるために退職を考えたのであれば注意が必要です。
退職の話を会社や上司にする際、引きとめる為の言葉がいくつかあります。それぞれのキーワードと対応方法を見ていきます。
待遇を良くするので辞めないでほしい、と言われることは多々あります。
→ 昇進、昇給など、待遇の向上を図るという提案
→ 業務が軽い部署や支店への異動提案
もちろん待遇が退職の理由でしたら再考の余地はあります。その際には業務内容、勤務形態を細かく確認してください。「場所が変わっただけで、業務内容が同じだった」、「新部署の慣れない仕事で疲弊しQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が下がってしまった」など、思わぬ落とし穴が無いか注意しましょう。
待遇が退職理由でない場合は「個人的な理由で退社したい」という事をしっかりと誠意をもって伝え、退職手続きを進めてもらいましょう。
下記のような文句を言われる場合もあります。
→ 「職務に必要な経験を積ませてやった会社の時間を無駄にするのか(恩をあだで返すのか)」
→ 「その仕事を誰が穴埋めをするのか」
そもそも、人員の育成と計画は上長や組織が中長期的に考える事柄であり、退職者の義務ではありません。業務に必要な資格であれば取得のサポートや、資格取得後の補助などでまかなうべきです。上記のような事を言われそうだなと感じる職場の場合、大まかで良いので引継ぎ計画書を用意しておきましょう。「このくらいの期間でこの内容を引き継ぐ予定である」と、具体的な内容を可視化して提示すると効果があります。
繰り返しますが、退職するあなたが次の人を用意する必要も、引継ぎ相手を探す必要もありません。
職歴が極端に短く採用者の面目が立たない場合、職歴が長く業務に精通しているため同じレベルの人材がいない場合、職能的に優秀である場合、人手不足ですぐに人員補充ができない職種の場合……など、辞めてほしくない立場の人から個人的に話をしたいと言われる場合があります。
→ 退職について話したいと会議室に呼ばれる
→ 業務後に話をしようと食事や飲酒に誘われる
正当な面談として呼ばれるのでしたら断ることもできませんので、面談を受け、その際は丁寧な口調で対応しましょう。
業務後のお誘いの場合、何度も食事をしたり飲みに行った事のある同僚や上司でしたら無下に断ることもありませんが、明らかに引き留めのためのお誘いと感じるようでしたら、断ることも視野に入れておきましょう。「ご存じのように退職いたしますのでその準備で忙しいのです」という口実でも良いでしょう。
また、ひざを突き合わせて話をした事、個人的な高評価を聞いた事で「そこまで必要としてくれているなら……」と退職を取り下げようかと思う人もいると思います。もちろん「この組織で気持ちを新たに働きたい」と思ったなら否定はしません。しかし、会話をしたその場で即決することはお勧めしません。「そこまでおっしゃっていただけるなら、少し考えてみます」といったニュアンスで返事をし、いったん持ち帰って考える事を伝え、自分で残る時、退職した時両方を再度シミュレーションしてましょう。
仲の良い同僚や同期の仲間などと飲酒する際には判断が揺らぐ事もあります。
自身のキャリアと長期の計画をしっかり考えて会話を進めましょう。
以前の記事でも書きましたが、雇用の期間の定めがない労働者(正社員など)の退職までの期間・期限は2週間前になっています。
しかしながら、引継ぎが発生する場合、当然ですが会社は引き継げる人員を確保しなければなりません。今いるメンバーに余力がある場合は業務を分割して割り振る、他部署から異動してもらった人員に引き継ぐなどの対応ができますが、そうでない場合は新しく雇用しなくてはなりません。
雇用するには、
①適任者の募集をする
②面接をする
③採用手続きをする
というステップが発生します。
もし採用活動が上手くいかない場合「退職時期を2週間(1か月)延ばしてほしい」や、「次の人が見つかるまで退職しないでほしい」と打診される場合があります。次の就職先や進学などの具体的な身の振り方が決まっていなければ拒否もしにくくなります。また、引き継ぎ者が居ないとなると、慣れ親しんだ仕事を曖昧なまま退職したくないという思いが出てくる人もいることでしょう。
このような「引継ぎ者が居ない」ための退職時期の変更要請もありますので注意しましょう。どうしても辞めたい場合は「派遣社員などに一時的に引き継げないか」などを提案することも有効です。
退職時期の変更要請を受け入れてもいいかなと思った場合は、下記に記載しました「有給休暇の消化」に気を付けながら条件を交渉してみましょう。
有給休暇は付与された日から2年間取得できるため、2年間の累積分も退職日までに消化できます。毎年、法定の年5日しか取得できていない人の場合、会社の制度や勤務年数によっては丸々1か月休める有給休暇日数を持っている人もいます。ところが、退職時の有給取得は義務ではありませんし、辞める人に快く休む権利を与えてくれる会社ばかりではありません。ですので、スムーズに有給消化するためには、自分で早めに退職までのスケジュール組むこと、業務の引き継ぎをしっかりと行なうことが必要になります。
前述の「退職時期の変更要請を受け入れた」そのために有給休暇を消化しきれずに退職日が来てしまう可能性もありますし、引継ぎ相手のスケジュールの都合により引継ぎ時間が足りなくなり、結果的に休みが減ることも考えられます。
引継ぎ日数が増えてしまった=消化できる有給休暇の日数が減ってしまったという現象は起こりがちです。
休む権利は持っていても、休む日数の調整は誰も積極的にしてくれません。退職日を決める際にはこちらにも注意が必要です。
いずれにしても、転職するには今いる会社を辞めなければ転職はできません。
用意周到にぬかりなく退職の準備すること、退職までのマイルストーンを設定して着実に進めることをオススメいたします。
もちろん、今の職場が嫌で辞める場合は事前に魅力のある職場を探しながら退職活動を進めてください。
魅力的な職場はこちらからも検索できます。
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